皆様こんにちは！ ラパン音楽教室
越谷・松伏教室を担当させて頂いております、木根です。

前回の投稿より大分ご無沙汰してしまいました💦

今回は【神童エフゲニー・キーシンとの出会い】
になります。

キーシンと言えば、言わずと知れた世界的なピアニスト。
ピアノを演奏、練習する上で、様々なピアニストの演奏をCDで聴いたり、劇場に足を運んで生演奏を堪能するというのは、とても勉強になり刺激になりますね。

その中でキーシンという演奏家は、あまたのピアニストたちの中に名を連ねる超一流のアーティストだと言うのも、ここで改めて書くのも野暮なのですが…

なので今回は、私の思春期の思い出としてのキーシンに視点を当てて書いてみたいと思います。

キーシンは旧ソビエト連邦モスクワの地にユダヤ系の家系に生まれ、わずか2歳からピアノを学び始めました。それからの神童としての活躍ぶりや、今や御歳51歳の成熟したピアニストに至るまでの経緯は、ここでは語り切れるものではないので、割愛いたします。

私がキーシンの演奏を始めて映像で見たのは、既に神童ピアニストとして世に出ていた時。
クラシック音楽フリークな父のおかげで、物心ついた頃から家の中では、いつも名曲ばかりが流れていました。
思春期に差し掛かった頃でしょうか。
たまたま父が、「聴いてみなさい」とビデオを見せられたのが、かのカラヤンがタクトを振るチャイコフスキーのピアノコンツェルト、観衆の拍手に出迎えられた少年こそが、キーシンでした。この頃は既に彼は17歳という年齢で、もはや神童の域としてはギリギリだったのですが。

こちらがその時の演奏です⤵

無表情で多少ぶっきらぼう、中に鳥でも飼ってるのかなと思わせる無造作なカミナリヘア(失礼)の少年は、冒頭のホルンの壮大なファンファーレが始まり、続くパワフル重厚で和音が始まるやいなや、私は瞬時に彼の演奏に引き込まれてしまいました。

それからはと言うと、すっかり彼の虜になってしまい、彼の過去の(まだあどけない少年だった頃の)リサイタルの映像等、ビデオテープが擦り切れるほどヘビロテ。
今でいう「推し」というやつですね。

少し時は流れ、高校時代に入り、キーシンが来日公演する事を音楽雑誌で知った私は、どうしても行きたい！彼の演奏を生で聴かなければ…
しかし当時は当然ネットなどなく、チケットは電話で取らなくてはなりません。
発売開始の時間は、あろう事か音楽理論の授業の最中。
後で叱られることを覚悟の上で授業をサボり(キーシンの演奏が聴ければ叱られる怖さ等ちっぽけでした😂)、悪友達3人で、校舎にたった1台しかない公衆電話でジャパンアーツに問い合わせ、チケットをゲットすることが出来ました！(その後は担任にお灸を据えられたのは言うまでもありません)

いかんせん昔の話でして、劇場に足を運び生キーシンに舞い上がっていたからか、プログラム等はよく覚えていないのですが、プロコフィエフの戦争ソナタだけは印象に残っています。

折しも当時は、ゴルバチョフによるペレストロイカにより、ソ連からロシアへ、その後ベルリンの壁の崩壊でドイツ統一、そして冷戦の終結という激動の時代、過渡期でもありました。

ちなみに戦争ソナタは、「第二次世界大戦中に作られたソナタ」でありプロコフィエフ自身が付けた題名ではありません。

横道に逸れてしまいましたが、キーシンの演奏後、サイン、握手会が行われ、私はちょうどその時に練習していたショパンの楽譜にサインをして頂きました。

その後は、熱狂的で綺麗に着飾ったお姉様方(おそらく音大生の方)にもみくちゃにされながらもキーシンは、クールな笑顔でありがとうとジェスチャーしながらタクシーに乗って去っていきました。

帰宅後は、「今日はキーシンと握手したから手を洗わない！」(あるあるですね)とごねていましたが、「そうね。手は洗わなくていいわよ。でも明日も学校だからお風呂には入りなさい」と言った母は強者でした。

以上、私のしょうもない青春時代のエピソードでした。

当時は神童と呼ばれながらメディアから消えてしまう少年達もいましたが、キーシンはその後も努力を惜しまず研鑽を詰み、もはや巨匠の域に入る成熟したピアニスト。
いつかまた、彼の演奏を見に行きたいと思っております。

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